禁煙宣言
日本人間ドック学会(以下、本学会)は、わが国独自の健康診断システムである人間ドック健診により、予防医学としてのがんをはじめとする生活習慣病の罹患率・死亡率を減少させるとともに、国民の健康増進を目的とする学術団体です。したがって、この目的を達成させるためには喫煙対策を最重要課題と位置づけ、第50回日本人間ドック学会学術大会において「禁煙宣言」を発表し、本学会としての基本方針を明らかにします。
2009年9月3日
第50回日本人間ドック学会学術大会
学術大会長 山門 實
公益社団法人日本人間ドック学会
理事長 奈良 昌治
第50回日本人間ドック学会学術大会
学術大会長 山門 實
公益社団法人日本人間ドック学会
理事長 奈良 昌治
「禁煙宣言」
喫煙が、がんをはじめとして慢性閉塞性肺疾患(COPD)、虚血性心疾患、脳卒中の原因として、また、その他の生活習慣病についても重要な危険因子であることは多くの研究より明確です。ことに、生活習慣病の有病者・予備軍の減少を目的に、2008年4月から開始されている特定健康診査・特定保健指導プログラムにおいて着目されているメタボリックシンドロームについても、喫煙がその発症の独立した危険因子であることが明確にされています。これらの事実から、がんをはじめとする生活習慣病の予防には禁煙が不可欠となります。
しかしながら、わが国では、WHOたばこ規制枠組条約(FCTC)を2004年に署名批准していますが、わが国の喫煙対策の実際についての国際的評価は極めて低いのが現況です。
したがって、予防医学を担う本学会では、これまでどおり、人間ドック健診によりがんの早期発見とともに、生活習慣病については受診者の行動変容に基づく保健指導により、その発症予防に努めていきますが、喫煙対策として、まず、人間ドック健診を担当するすべての医療従事者が禁煙すること、そして、喫煙する人間ドック健診受診者、特定保健指導受診者に対し禁煙指導を行うこと、さらには、禁煙の重要性を社会に発信し喫煙対策の推進を図ることをここに宣言し、以下に基本方針の提言を行います。
7つの基本方針(禁煙宣言7カ条)
日本人間ドック・予防医療学会会員への呼びかけ
1.日本人間ドック・予防医療学会(以下、本学会)は、会員のすべてが非喫煙であることを目指し、ことに人間ドック専門医・認定医は非喫煙であることをその資格条件とします。
2.会員が所属する施設の敷地内禁煙化を推進します。
3.喫煙する人間ドック健診受診者や特定保健指導受診者に対し禁煙指導を行います。
4.本学会は、本学会の運営する学術大会、専門医・認定医研修会をはじめとするすべての催事の会場施設内を完全禁煙とします。
社会への働きかけ
1.本学会は、喫煙ならびに受動喫煙が健康を害することを社会に啓発するとともに、禁煙を推進させるための社会的活動を行います。
2.本学会は、禁煙活動を推進する他の学術団体の活動に協力します。
3.本学会は、包括的な喫煙対策を推進するための諸施策について、関係方面への働きかけを行い、タバコのない社会の実現を目指します。